日本応用数理学会
2017年 研究部会連合発表会
プログラム
ver. 2017-02-20
ご注意:本プログラムは暫定版であり変更される可能性があります.
2月4日 | プログラム公開 |
2月7日 | プログラム一部修正 |
2月14日 | セッション会場情報更新 |
2月15日 | プログラム一部修正 |
2月20日 | プログラム一部修正 |
3月6日
3月7日
▷ 応用カオス(1) [3月6日:11:10-12:30:A](座長:山口明宏(福岡工業大学))
- レーザーカオスと金属V溝を用いた高効率sub-THz分光 / ○桑島 史欣 (福井工大), 白尾 拓也 (アークレイ中央研究所), 岩尾 憲幸 (福井工大), 赤峰 佑介 (福井工大), 大井 真夏 (福井工大), 坂上 直哉 (福井工大), 白崎 拓郎 (福井工大), 合田 汐里 (福井工大), 谷 正彦 (福井大), 栗原 一嘉 (福井大), 山本 晃司 (福井大), 森川 治 (海上保安大学), 長島 健 (摂南大), 中島 誠 (阪大) [概要]
THz波は、長い間暗黒の電磁波帯と呼ばれてきたが、THz時間領域分光法により、比較的容易に発生、および時間波形の観測が可能となってきたが、用いるfsレーザー高価である。一方、多モード半導体を用いる、MLD-THz時間領域分光法も開発されたが、帯域は、0.5THzに限られ、不安定である。われわれは、レーザーカオスを用いることで、この問題を克服した。また、出力が弱い欠点を補うために、金属V溝による超集束を用いて、検出感度を増大させた。分光に応用した例も、紹介する。
- He-Ne Laserのカオス尺度による評価 / ○井上 啓 (山陽小野田市立山口東京理科大学工学部), 桒島 史欣 (福井工業大学工学部) [概要]
時系列データだけからカオスを定量化する試みとして,カオス尺度による実験データの解析を行っている.本発表では,12ビットデータとして与えられたHe-Ne Laserの時系列データをカオス尺度を用いて評価することを試みる.
- RRI(心拍間隔データ)の1階差分の分散とカオス尺度の関連性について / ○真尾 朋行 (東芝情報システム株式会社), 奥富 秀俊 (東芝情報システム株式会社) [概要]
RRI(心拍間隔データ)のカオス尺度と自律神経活動の関連性について研究を行っている.
本発表では,自律神経の活動指標とされるRRIの1階差分の分散とカオス尺度との関連性について考察を述べる.
- Lyapunov指数とカオス尺度の関連性に関する解析的考察 / ○奥富 秀俊 (東芝情報システム), 真尾 朋行 (東芝情報システム) [概要]
時系列データから算出可能なカオス尺度をLyapunov指数相応値として代用することを試みている.
本発表では,Lyapunov指数とカオス尺度に関する解析的な性質を述べ,誤差量等を明らかにする.
▷ 応用カオス(2) [3月6日:13:30-14:50:A](座長:佐藤譲(北海道大学))
- 環境との相互作用をもつ単純なゾウリムシ遊泳モデルにおける複雑分岐現象 / ○黒田 茂 (北海道大学電子科学研究所) [概要]
ゾウリムシは水中を遊泳して生活する単細胞繊毛虫であり、生体膜の電気生理学的性質と行動(特に繊毛打方向)の間の関係が50年前から調べられている。我々は、既知の生理学的知見を考慮した簡単なゾウリムシ遊泳モデルを構築し、環境との力学的相互作用を介して誘発される適応的行動を考察した。本発表では、ゾウリムシモデルが一次元行き止まり空間において示す行動パターンの分岐現象を紹介する。また実際のゾウリムシを用いた実験結果との関係を議論する。
- ◎Phase Locking Valueを用いた記号の意味理解時の脳波解析 / ○藤原 正幸 (北陸先端科学技術大学院大学), 橋本 敬 (北陸先端科学技術大学院大学), 李 冠宏 (北陸先端科学技術大学院大学), 奥田 次郎 (京都産業大学), 金野 武司 (金沢工業大学), 鮫島 和行 (玉川大学脳科学研究所), 森田 純哉 (静岡大学) [概要]
脳波の同期・脱同期という観点は,脳という複雑系の動的・大域的な活動を捉えられる可能性がある.位相同期の指標であるPhase Locking Value(PLV)は,複数試行に渡る2電極間の脳波位相のばらつきの程度を測ることができ,同期による認知活動の検討が可能である.動的・大域的な活動が関与するであろう記号コミュニケーションの理解には,PLVによる位相同期ネットワークを見ることが有効と考えられる.そこで本研究では,PLVを用いて記号コミュニケーションの成立,特に記号の意味理解の際に,どのような同期構造があり変化していくのかについて解析した.その結果,長距離のネットワークが形成され,課題終期ではそのネットワークが早い潜時で現れることが示唆された.
- TestU01 を用いたカオス的擬似乱数系列の乱数検定 / ○多久島 秀平 (福岡工業大学), 山口 明宏 (福岡工業大学) [概要]
擬似乱数系列や乱数系列の乱数性の検定として,TestU01が提案されている.DiehardやNIST SP800-22などの乱数検定では特定の有意水準のもとで特定のサイズの系列に対して仮説検定を行うが,TestU01では系列のサイズは固定されておらず,極端に偏ったP値が得られ,不合格が明らかになるまで系列のサイズを増やす方針で仮説検定が行われる.本研究では,ロジスティック写像やアーノルドの猫写像などの代表的なカオス写像で生成した擬似乱数系列について,TestU01を用いた乱数検定を行い,検定に必要となる系列長や検定結果について報告する.
- ◎カオスモンテカルロ積分法と準モンテカルロ積分法の性能評価―被積分関数の滑らかさと計算速度との関係― / 梅野 健 (京都大学), ○滝川 純一郎 (京都大学) [概要]
平均2乗誤差がO(1/N^2)で収束するSuperefficiency Conditionを満たしたカオスモンテカルロ積分法と,同程度のオーダーで収束する準モンテカルロ積分法の性能評価を行う.
また,被積分関数の微分可能性を変化させることにより,関数の滑らかさが計算速度に与える影響について評価する.
▷ 応用カオス(3) [3月6日:15:00-16:20:A](座長:奥富秀俊(東芝情報システム))
- ◎あるシンプレクティック写像のAnosov性の証明 / ○大久保 健一 (京大情報), 梅野 健 (京大情報) [概要]
カオス軌道の数学的特徴づけとして, Anosov性が知られている.
Anosov性を持つ写像では, 不安定方向の軌道拡大率が指数関数的に増加する.
本講演では, tangent関数を用いた2パラメータ・シンプレクティック写像が
あるパラメータの範囲でAnosov性を持つことを証明する.
- ルベーグ測度を不変測度として持つ無限個の写像の構成について―cot関数のk倍角公式と確率保存則- / ○梅野 健 (京都大学) [概要]
kを2以上の自然数とした時に、cot関数のk倍角の公式 – cot(kx)=Fk[cot(x)]を考える。すると、Gk(x)=kFk(x)は, R上のルベーグ測度dxを厳密に保存する写像であることを確率保存則(ペロン=フローベニウス方程式)から証明する。ここでk=2とすると、有名なブール変換 G2(x)=x-1/xとなる。講演では、その三角関数の加法公式を用いたその証明を示し、そのエルゴード性について議論する。
- Anomalous diffusion in random dynamical systems / ○佐藤 讓 (北海道大学) [概要]
Diffusion based on stochastic chaos in random dynamical systems is studied. There exist anomalous diffusion and aging
in a spatially extended random dynamical systems, where the unperturbed version is a well-established model for deterministic diffusion. The power-law exponents for the mean square displacement and the waiting time distribution match to predictions by continuous time random walk theory. When we fix a particular noise realisation for all trajectories, we find noise-induced synchronization of jump times and breaking of self- averaging, which is similar to weak ergodicity breaking in weakly chaotic systems. Universality of this phenomenon is discussed as well.
This is a joint work with Prof. Rainer Klages at Queen Mary University of London.
▷ 数理ファイナンス(1) [3月6日:09:40-11:00:B](座長:石村直之(中央大学商学部))
- ◎Differences in Bargaining Power and Speculative Trades / ○五十嵐 徹 (一橋大学大学院商学研究科博士課程) [概要]
投資家の間に信念の違いが存在する場合,投機的な取引によって取引価格が歪められることが知られているが,多くの研究では売り手に完全な交渉力を仮定していた.本研究ではScheinkman and Xiong(2003)モデルをもとに,買い手にも交渉力が存在する場合の均衡価格を繰り返しの最適停止問題を用いて導出し,投機的な取引が価格やそのボラティリティに与える影響を分析する.
- ◎Kelly基準と破産確率 / ○吉田 直広 (一橋大学大学院経済学研究科) [概要]
本講演では,複合ポアソン過程モデルにおける投資戦略としてのKelly基準とその破産確率について報告をする.連続時間の枠組みでKelly基準を扱う場合,証券価格を幾何ブラウン運動モデルで表すことが標準的となっているが,幾何ブラウン運動モデルでは表せないような個別の証券への投資にKelly基準を適用することを目的に,本講演では簡単な複合ポアソン過程モデルにおけるKelly基準とその破産確率について報告する.
- 信用取引を含んだ取引のモデル化及び期待効用最大化 / ○山村 和也 (法政大学), 安田 和弘 (法政大学) [概要]
ポートフォリオ構築の際に信用取引を用いれば、小さな資金でもレバレッジ効果により投資効果を上げ、期待収益を高めることが可能である。しかし、期待収益が高まる半面、期待損失も大きくなる。また、信用取引を行うためには一定額の担保を預け入れなければならない。このように、長所と短所を併せ持つ信用取引に対して、本研究では信用取引の諸条件を考慮したモデルを構築する。さらに、期待効用を最大とする投資戦略を求める。
- CKLS model におけるパラメータ推定手法の比較 / ○茶木 直人, 安田 和弘 [概要]
CKLS modelは,金利関係の金融派生商品価格評価などをする際に用いられる確率微分方程式である.このモデルは,各パラメータの制約次第で,代表的な連続型の短期金利モデルを表すことができるという特徴がある.本研究では,オイラー・丸山近似を用いて生成したデータに対して一般化モーメント法や擬似最尤推定法などの複数の推定手法を用いて,CKLS modelのパラメータ推定を行い,推定方法の違いによる推定結果への影響を考察する.
▷ 数理ファイナンス(2) [3月6日:11:10-12:30:B](座長:石村直之(中央大学商学部))
- ◎投資リスク最小化問題の最適解に対する確率伝搬法アルゴリズムの導出 / ○新里 隆 (一橋大学) [概要]
平均分散モデルに対する最小投資リスクとなる最適解は一般的に逆行列の計算を必要とするが,銘柄数Nの3乗に比例した計算量が必要であるという問題をはらんでいる.そこで我々は確率推論で広く用いられている確率伝搬法BPを用いて,銘柄数Nの2乗に比例した計算量で最適解を導出できるアルゴリズムを提案する.
- ◎ランダム行列を用いた不等式制約を含む最小投資リスクの理論解析 / ○多田 大智 (首都大学東京大学院), 新里 隆 (一橋大学), 肖 霄 (首都大学東京大学院), 山本 久志 (首都大学東京大学院) [概要]
投資リスク最小化問題に対して,予算制約と不等式制約を課したある種の最適化問題に対して,ランダム行列で開発されたStieltjes変換を用いて解析する.本研究により,先行研究で議論されたレプリカ解析の結果と整合性が取れることを確認した.
- Convergence Implications via Dual Flow Method / 天羽 隆史 (立命館大学), 田口 大 (立命館大学), ○結城 郷 (立命館大学) [概要]
Given a one-dimensional stochastic differential equation, one can associate to this equation a stochastic-flow on , which has an absorbing barrier at zero.
Then one can define its dual stochastic-flow.
In this presentation, we consider a discrete-time stochastic-flow which approximates the original stochastic-flow.
We show that under some assumptions, one-point motions of its dual flow also approximates the corresponding reflecting diffusion.
- ◎Firms network for default propagation analysis / ○Kaneko Takuya (ICU), Hisakado Masato (Nomura) [概要]
In this presentation, we introduce new approach to estimate commercial networks of firms based on their historical stock price. Recently commercial networks are keenly researched to expand the accuracy of risk management especially in estimating negative impacts from business counter parties. The standard approach to obtain networks is firstly we collect all financial reports as of same timing with the corporation of all financial institutions, secondly extract business transactions by carefully checking details of their balance sheets, and thirdly unite each firms without any discrepancy. It would take enormous time and efforts. We utilize historical stock price to escape from having these difficulties. We introduce our approach with over-viewing simple model guidance and explaining a few samples of numerical experiments.
▷ 産業における応用数理 [3月6日:13:30-14:50:B](座長:櫻井鉄也(筑波大学) )
- ◎インバリアント分析を用いた異常予兆検知の大型プラントへの適用と最近の進展について / ○河合 孝純 (NECセキュリティ研究所) [概要]
インバリアント分析は正常状態のセンサ間の関係性をARXモデルによる回帰式として表し、その関係性の崩れによって異常を検知する方法である。演算速度が非常に速いため、数千以上のセンサを持つ大型プラントにおけるリアルタイムでの異常検知が可能である。講演では適用事例の紹介と最近の技術の進展について紹介する。
- 製品の中の界面現象の数理 / ○恩田 智彦 (花王株式会社), 塩見 浩之 (花王株式会社) [概要]
弊社の扱う製品はせっけんから化粧品、電子材料に至るまで多岐にわたっていて、そこには界面の関わる様々な現象(広い意味での”界面現象”)が現れ る。私達はこの界面現象のモデル化やシミュレーションに取り組み、メカニズムの解明、構造の最適化及び関連現象の予測等を通して、数理的側面から製品開発の支援を行っている。本講演ではその一端をご紹介したい。
- オープン・データ・サイエンス / ○齊藤 秀 (株式会社オプト) [概要]
日本最大のデータサイエンティストコミュニティ:DeepAnalytics(https://deepanalytics.jp/)では、企業・公的機関が保有する課題・実データを用いたデータ分析コンテストを多数開催している。本発表では、コンテスト実績で得られたデータ・知見から、オープンアプローチ特有の利点や数理モデル構築法について紹介する。
- ◎システムサイズが小さい場合の長方形型 Connected-(1,2)-or-(2,1)-out-of-(m,n):F システムのシステム信頼度算出アルゴリズムの提案 / ○石川 匠 (首都大学東京), 新里 隆 (一橋大学), 肖 霄 (首都大学東京), 山本 久志 (首都大学東京) [概要]
2次元格子状のシステムのシステム信頼度の研究において,システム状態の状態数から信頼度を評価する研究がすでに行われているが,組み合わせ数が膨大になるため,実効的ではない.そこで我々は再帰的にシステム信頼度を導出する方法を提案する.
▷ 数理設計(1) [3月6日:15:00-16:20:B](座長:代田健二(愛知県立大学))
- ◎仮想的物理モデルを用いた幾何学的制約法とトポロジー最適化への展開 / ○山田 崇恭 (京都大学), 佐藤 綾美 (京都大学), 泉井 一浩 (京都大学), 西脇 眞二 (京都大学) [概要]
トポロジー最適化によって得られる最適構造は製造が困難な場合が多い.本研究では,仮想的な物理モデルを用いて製造工程から要求される幾何学的制約を考慮した方法論の構築に関する検討を行う.
- 熱流体メタマテリアルの最適設計のためのボルツマン方程式の感度解析 / ○佐藤 綾美 (京都大学), 岡本 崇 (京都大学), 山田 崇恭 (京都大学), 泉井 一浩 (京都大学), 西脇 眞二 (京都大学) [概要]
希薄な状態にある気体は,温度勾配によって流れが誘起されるという通常の流体には見られない性質を持つ.本研究では,この性質の逆を実現する,すなわち気体の流れによって温度勾配を生み出すような熱流体メタマテリアルを,構造最適化手法を用いて創出することを目指し,希薄気体の支配方程式であるボルツマン方程式に基づいて感度解析を行った.
- ◎ボルツマン輸送方程式に基づく最適設計に関する一考察 / ○古田 幸三 (京都大学), 佐藤 綾美 (京都大学), 泉井 一浩 (京都大学), 山田 崇恭 (京都大学), 西脇 眞二 (京都大学) [概要]
ボルツマン輸送方程式を用いた最適設計手法については,幾つか報告されているが,ナノスケールを対象とした最適設計手法に関するものは未だ無い.そこで,本研究ではボルツマン輸送方程式に基づきナノスケールの熱伝導を対象とした最適設計手法の構築を目的とし,その基礎検討を行った.
- 温度時間履歴をコントロールする非定常強制熱対流場の形状設計 / ○片峯 英次 (岐阜工業高等専門学校), 岡田 直也 (岐阜工業高等専門学校(学生)) [概要]
非定常強制熱対流場の部分領域において,温度時間履歴をコントロールする形状設計問題を取りあげて,その解法を紹介する.問題を定式化し,随伴変数法を利用して形状修正の感度となる形状勾配密度関数を導出した.導出した感度に基づいて力法(あるいは勾配法)を適用し,Freefem++を利用して解析した数値解析結果を紹介する.
▷ 数理設計(2) [3月6日:16:30-17:50:B](座長:片峯英次(岐阜高専))
- 3水準系の最小実験数を実現するカンファレンス行列 / ○森 輝雄 (森技術士事務所) [概要]
科学実験は2水準よりは,中間値が取れる3水準を適当とする.従来の3水準は一次項と2次項から構成され,自由度が大きくなり実験総数は増加する.一方実験者は,2次項より一次項が圧倒的に有効だとする.そこで,1次項のみで校正される計画行列の出現を期待していたが,カンファレンス行列がこれに該当する.カンファレンス行列は,電話会議の故障診断に適されてきた歴史があるが連続量を因子とする実験計画にも適用されるようになったので報告する.
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- H1勾配法による合成梁接触部ずり剛性同定逆問題に対する数値解法 / ○倉敷 大輔 (愛知県立大学情報科学部), 代田 健二 (愛知県立大学情報科学部) [概要]
本発表では,鉄とコンクリートによる合成梁の欠陥同定問題に対する数値解法について考察する.本研究で対象とする問題は,二つの梁を接合している連結部材の軸方向劣化がなく,ずり方向のみ劣化,すなわち接触部ずり剛性係数同定逆問題である.その逆問題を密度型へと変換し,さらに H1 勾配法を適用することで,数値同定アルゴリズムを導出する.また数値実験により,本手法の有効性を検証する.
- 撥弦楽器のボディに対する形状最適化 / ○林 拓也 (名古屋大学), 畔上 秀幸 (名古屋大学) [概要]
本講演では,撥弦楽器のボディに対する形状最適化問題を構成し,その解法と数値例を示す.状態決定問題には,線形弾性体とそれを取り巻く流体からなる連成系の周波数応答問題を設定する.目的関数には放射された与えられた周波数帯域の音響パワーを用い,これを最大化することを考える.
- ◎形状観測に基づく筋活動の同定 / ○出口 秀輝 (名古屋大学), 羽生 圭吾 (株式会社明治), 道脇 幸博 (武蔵野赤十字病院), 菊地 貴博 (武蔵野赤十字病院), 神谷 哲 (株式会社明治), 畔上 秀幸 (名古屋大学) [概要]
本発表では、嚥下運動の観測結果から筋活動を同定する問題を数理的に定式化することで、新たな筋肉モデルを提案し、その数値解法を示す.その上で数値例を示し、その結果を踏まえて、本問題の課題を明らかにすることとする.
▷ 応用可積分系(1)[3月6日:10:00-11:00:C](座長:筧三郎(立教大学))
- Construction and simulation of discrete integrable model for soil water infiltration problem / Broadbridge Philip (ラ・トローブ大学), ○梶原 健司 (九州大学), 丸野 健一 (早稲田大学), Triades Dimetre (九州大学/ラ・トローブ大学) [概要]
土壌中の水の浸透現象を記述する可積分モデルと,その離散化を 提案する.モデルはBurgers方程式にホドグラフ変換を施した1次元非線形拡散方程式に対する非線形境界値問題として定式化され,それを用いて可積分離散化を行ったモデルを導出する.また,数値シミュレーションでの数値安定性と,厳密解が求まる場合との高精度の一致を要請すると,モデルに対して可積分性とは別の観点からの議論が必要である.この点に関しても考察する.
- Explicit Formulas for Area-preserving Deformations of Plane Curves in the Equicentroaffine Geometry / 梶原 健司 (九州大学), 丸野 健一 (早稲田大学), 松浦 望 (福岡大学), 中西 和音 (九州大学), ○朴 炯基 (九州大学) [概要]
We present a formulation of discrete dynamics of discrete plane curves in the equicentroaffine geometry which is characterized as an area-preserving deformation. The deformation is governed by the discrete Korteweg-de Vries(KdV) equation. This dynamics is closely related to arclength-preserving deformations of plane curves in the Minkowski plane, which is governed by the defocusing modified KdV equation. Firstly, we present the correspondence between them. Nextly, we construct explicit formulas for are-preserving deformation of plane curves in the equicentroaffine geometry by using the correspondence to the explicit formulas of plane curves in the Minkowki plane.
- ◎q-Bessel関数の精度保証付き数値計算 / ○金泉 大介 (早稲田大学), 丸野 健一 (早稲田大学) [概要]
これまで様々な特殊関数の精度保証付き数値計算が研究されてきているが,
可積分系をはじめとする数理物理で現れるq-特殊関数の精度保証付き数値計算に関する研究は我々の知る限りまだない.
q-特殊関数の精度保証付き数値計算法を確立するため, 可積分系でよく現れるq-Bessel関数の精度保証付き数値計算を行なった.
本講演ではJacksonの第1種, 第2種q-Bessel関数, Hahn-Extonのq-Bessel関数の精度保証付き数値計算法について述べる.
▷ 応用可積分系(2) [3月6日:11:10-12:30:C](座長:新澤信彦(西日本工業大学))
- ◎符号付き超離散バネ方程式の解の分類 / ○外山 弘貴 (法政大理工), 礒島 伸 (法政大理工) [概要]
非線形バネ方程式の1つである硬性バネ方程式およびその保存量の関係式の符号付き超離散化を与える.
多くの初期値に対して超離散方程式の解と保存量の超離散類似の値を求め,両者の関係の分類を提案する.その中には保存量の超離散類似が通常の意味での保存量とならないが,ある数理構造が観察される場合が含まれる.
- 超離散Somos-4, 5方程式の初期値問題の解法 / ○中田 庸一 (東京大学大学院数理科学研究科) [概要]
Somos sequence のうちいくつかは Laurent 性を持つ離散方程式系として知られているが、その超離散対応物のうち
超離散 Somos-4 および Somos-5 方程式について解を凸多角形として表示し、方程式を多角形間の演算と置き換えることにより任意の初期値に対する一般解を得たので、その方法について解説し対応するQRT系の性質との関係について議論する。また同様に可積分であると考えられるSomos-6, 7の超離散対応物についての進展も報告する。
- 擬不変量を持つ可解カオスと虚数乗法 / 久保 涼平 (立教大学大学院), ○筧 三郎 (立教大学理学部) [概要]
榊・筧によって,超幾何関数で表される不変量を持つ差分方程式の構成法が提案され,近藤によってそれらの厳密解が考察されている。今回は,まだ厳密解が分かっていない方程式に対して,虚数乗法をもつ場合の楕円関数による厳密解を構成し,可解カオス系との関係を考察する。
- 小さいフラーレン上の離散ソボレフ不等式の最良定数 / ○山岸 弘幸 (都立産技高専), 亀高 惟倫 (阪大) [概要]
炭素原子の5員環12個と6員環が0個以上で球状に構成された多面体をフラーレンと呼ぶ.
フラーレンの隣り合う炭素原子がバネ定数1の線形バネで結ばれている古典力学モデルを考える.
各原子のたわみの最大幅をポテンシャルエネルギーの定数倍で評価する不等式が
離散ソボレフ不等式であり,定数倍のうち,最も小さい定数である最良定数を求めた.
離散ソボレフ不等式の最良定数はこのモデルの「かたさ」を表す指標となる.
同じ原子の数で5員環と6員環の配置が違うものを異性体と呼ぶ.
炭素原子が20から36程度までの各フラーレンの異性体に対応する最良定数を求め,
異性体のかたさを最良定数という数値で順位付けを行なった.
▷ 応用可積分系(3) [3月6日:13:30-14:50:C](座長:中田庸一(東京大学))
- ◎単調性をもつセルオートマトンとmax-plus方程式について / ○中村 和陽 (早稲田大学基幹理工学部応用数理学科高橋研究室), 高橋 大輔 [概要]
1+1次元セルオートマトンのうち,状態変数から定義できる量が時間に対して単調性を有するものについて,解の振る舞いを議論する.
また,それら系の時間発展則をmax-plus方程式に拡張し,方程式の共通の構造について説明する.
- 一般的双線形差分方程式のソリトン解 / ○新澤 信彦 (西日本工業大学) [概要]
離散BKP方程式の係数を一般化した方程式
を、一般的双線形差分方程式という。係数をこの様に一般化してしまうと、離散BKP方程式のパフィアンを使ったソリトン解は使えなくなってしまう。しかしながら、このような一般化をしてもBacklund変換の仕組みは温存される。
このBacklund変換を使って、一般的双線形差分方程式のNソリトン解を導出する。
- パフィアン表示を持つ対称な平面分割の分配関数 / ○上岡 修平 (京都大学), 森居 数広 (京都大学) [概要]
対称な平面分割のある分配関数に対して、パフィアンによる表示を与える。この分配関数は平面分割のトレースを含み、かつ平面分割の成分に上界を設けており、対称な平面分割に対する既知の母関数の一般化になっている。
- ◎前方サイトの状態に依存する吸脱着機構を持つ完全非対称単純排他過程の動力学について / ○一木 信吾 (東京大学先端科学技術研究センター), 佐藤 純 (東京大学先端科学技術研究センター), 柳澤 大地 (東京大学先端科学技術研究センター), 西成 活裕 (東京大学先端科学技術研究センター) [概要]
本講演では、前方サイトの状態に依存する吸脱着機構を持つ一次元完全非対称単純排他過程を紹介する。そして、当該模型において、周期境界を持つ場合の定常状態及び緩和ダイナミクス並びに開放境界を持つ場合の定常状態について、平均場近似を用いて解析した結果について報告する。また、この模型の一つの発展として、複雑ネットワークについて議論する。
▷ 応用可積分系(4) [3月6日:15:00-16:00:C](座長:野邊厚(千葉大学))
- A Lax pair of the discrete Euler top / ○木村 欣司 (京都大学大学院情報学研究科) [概要]
2000年に、離散オイラーのコマという方程式を提案しました。その際には、厳密解と保存量も議論しました。しかし、Lax pairについては、得ることができませんでした。現在でも、それは知られていません。そこで、本講演では、とある一般化固有値問題から離散オイラーのコマのLax pairを得ます。
- 運動量、角運動量、エネルギーの同時保存スキーム / ○佐々 成正 (原子力機構) [概要]
これまで我々は、PDEの時間発展にシンプレクティック数値積分法を適用した時の運動量保存則について議論を行ってきた。本講演ではこれに加え、角運動量保存が成り立つ場合について考察する。条件が揃えば、PDEに対する、運動量、角運動量、エネルギーの同時保存スキームが構成可能である事を示す。
- 離散戸田方程式によるランチョスアルゴリズムの多段拡張とその応用 / ○中村 佳正 (京都大学), 關戸 啓人 (京都大学) [概要]
ランチョス(1950,52)による行列の3重対角化法において,離散戸田方程式(qd法)の時刻0→1の時間発展とみなせる式が導出されている.これは共役勾配法だけでなく連分数展開を用いたルティスハウザー(1954)のqd法の発見にも先行する.本講演では,ランチョスのアイデアを一般化することで,multistep progressive algorithm (MPA)と名付ける多段拡張ランチョス法を定式化する.さらに,MPAの連立1次方程式の反復解法,固有ベクトル計算,ガウスの積分公式計算への応用について報告する.
▷ 行列・固有値問題の解法とその応用(1) [3月6日:09:40-11:00:D](座長:多田野 寛人(筑波大学))
- ◎Fast computation of the largest singular values and vectors of large-scale discrete ill-posed problems / ○REICHEL Lothar (Department of Mathematical Sciences, Kent State University, USA) [概要]
The singular value decomposition is commonly used to solve linear discrete ill-posed problems of small to moderate size. This decomposition not only can be applied to determine an approximate solution, but also provides insight into properties of the problem. However, large-scale problems generally are not solved with the aid of the singular value decomposition, because its computation is considered too expensive. We show that a truncated singular value decomposition, made up of a few of the largest singular values and associated right and left singular vectors, of the matrix of a large-scale linear discrete ill-posed problems can be computed quite inexpensively by an implicitly restarted Golub–Kahan bidiagonalization method.
- Thick-Restart Golub-Kahan-Lanczos法における片側の特異ベクトルのみを用いたリスタートについて / ○石田 遊也 (京都大学大学院情報学研究科), 木村 欣司 (京都大学大学院情報学研究科), 中村 佳正 (京都大学大学院情報学研究科) [概要]
部分特異対を求めるThick-Restart Golub-Kahan-Lanczos法では,従来法として左右の特異ベクトルを用いてリスタートを行う方法が提案されている.我々は,高精度計算の実現のため,片側のみの特異ベクトルを用いてリスタートを行う方法を提案する.加えて,本講演では,アルゴリズム内部で生成される小行列を解くルーチンとしてQR法と直交QD法を選択した場合の実装と性能評価を報告する.
- ◎片側ヤコビSVDの並列計算機向け実装と性能解析 / ○工藤 周平 (電気通信大学), 山本 有作 (電気通信大学) [概要]
片側ブロックヤコビ法は特異値分解手法の一つであり、
内包する並列性とブロック単位の操作のため、
並列計算環境では高速に動作するが、
収束性や並列性に大きな影響を与えるブロック選択順序については未解明な点が多い。
最近、我々は並列動的順序と、可変ブロックサイズを採用したアルゴリズムを実装し、
収束性の理論的解析と、並列計算機上での性能解析を行った。
本発表ではこれらの結果と、実装時の工夫について述べる。
- 一般内積に対する修正グラム・シュミット直交化の効率的実装法の誤差解析 / ○山本 有作 (電気通信大学), 今倉 暁 (筑波大学) [概要]
対称正定値行列Aにより定められる一般内積に対し,n本のベクトルを直交化することを考える。修正グラム・シュミット法を使う場合,従来はAとベクトルの積が2n回必要とされてきたが,最近,今倉により,行列ベクトル積がn回で済むMGS-HA法が提案された。本発表では,この手法に対する丸め誤差解析の結果を紹介する。MGS-HA法は,残差についても直交性についても,従来法と同等の精度を持つことが示される。
▷ 行列・固有値問題の解法とその応用(2) [3月6日:11:10-12:30:D](座長:山本 有作(電気通信大学))
- ◎逆固有値問題に対する反復解法の収束性解析 / ○相島 健助 (東京大学) [概要]
逆固有値問題とは,指定した固有値と構造を有する行列を生成する問題である.近年,応用上の重要性も認知されその数値解法は盛んに研究されている.最近,講演者はある典型的な逆固有値問題に対し,行列方程式に基づく反復解法を提案した.本講演ではこの提案手法について述べ,局所的な収束性解析を行うことで二次収束を理論保証する定理を与える.
- Xeon Phiにおける並列2分法による固有値計算の性能評価 / ○大澤 真之 (京都大学大学院情報学研究科), 木村 欣司 (京都大学大学院情報学研究科), 中村 佳正 (京都大学大学院情報学研究科) [概要]
2分法による実対称3重対角行列向け固有値計算に関して, Intel社により開発・販売されているメニーコアプロセッサXeon Phi上での実装とその性能評価について述べる. 本研究では, LAPACKの2分法ルーチンDSTEBZに対してOpenMPによるスレッド並列化を施し, その並列2分法コードからXeon Phi向けの実装コードを開発した. 2個のマルチコアCPUを搭載した計算機環境とXeon Phi上での数値実験結果を比較し, 開発したXeon Phi向けの実装コードが良好な並列性能を示すことを確認した.
- 実対称固有値問題に対する多分割の分割統治法の高速化に関する考察 / ○江塚 温彦 (埼玉大学), 桑島 豊 (埼玉大学), 重原 孝臣 (埼玉大学) [概要]
実対称固有値問題に対する多分割の分割統治法は,現在提案されている実装では,十分な精度を得るために固有ベクトルの再直交化を必要とする.近接固有値を持つ入力行列に対しては,再直交化に多くの時間を要する場合があり,全体の計算時間の中で多くの比重を占めるという問題がある.本発表では,この問題を解決すべく提案した固有ベクトルの新たな計算方法と従来の計算方法と比較を行う.
- 実対称定値一般固有値問題の解法に用いるレゾルベントの多項式型フィルタの設計法 / ○村上 弘 (首都大学東京) [概要]
実対称定値一般固有値問題の固有対で、固有値が指定区間にあるものを近似して解く。そのために、必要な固有ベクトルは良く通過させるが不要なものを強く除去する伝達特性を持つ作用素をうまく構成してフィルタに用いる。
ランダムなベクトルの組を濾過して得たベクトルの組から、必要な固有ベクトルで張られた不変部分空間を近似する空間の基底を適切に構成し、それからレイリー・リッツ法を用いて近似対を取り出す。
フィルタを固有値問題のレゾルベントの多項式としてうまく構成する方法について検討する。
▷ 行列・固有値問題の解法とその応用(3) [3月6日:13:50-14:50:D](座長:速水 謙(国立情報学研究所))
- ◎Generalizations of the shift splitting method for saddle point problems / ○Miao Shu-Xin (College of Mathematics and Statistics, Northwest Normal University, China) [概要]
In this talk, three kinds of generalized shift splitting iteration methods for solving the singular and/or nonsingular saddle point problems are given. The convergence properties for nonsingular saddle point problems and/or the semi-convergence properties for singular ones of the proposed methods are carefully discussed under suitable restrictions. Numerical results verify the effectiveness of the proposed method.
- ◎CGS系統の反復法に対するスムージング技術の新しい実装法 / ○米山 涼介 (東京理科大学大学院理学研究科), 相原 研輔 (東京理科大学), 石渡 恵美子 (東京理科大学) [概要]
非対称な連立一次方程式に対して,自乗共役勾配(CGS)法などの残差ノルムは振動する.スムージング技術は,残差ノルムの振る舞いを滑らかにする手法として知られているが,実装法を工夫することによって,丸め誤差の蓄積を抑えることにも有用となる.本発表では,そのような数値的安定性の向上を目的とした,スムージングの新しい実装法を提案する.数値実験を通して,得られる近似解の精度を改善できることを示す.
- データにノイズを含んだ悪条件問題に対するLSQR法の反復停止条件について / ○小澤 伸也 (福井大学), 畠中 康宏 (福井大学), 細田 陽介 (福井大学), 相原 研輔 (東京理科大学) [概要]
LSQR法は反復が進むにつれて残差は単調に減少する。また、反復過程で生成される二重対角行列の条件数は単調に増加し、これら単体では反復の停止条件として用いることはできない。本研究では、これらを組み合わせて、データにノイズを含んだ悪条件問題に対してのLSQR法の反復停止条件を提案する。本方法では二重対角行列の条件数を1ノルムで評価することにより、計算量の増加は最小限に抑えられ、数値実験を用いてその有効性を検証する。
▷ 行列・固有値問題の解法とその応用(4) [3月6日:15:00-16:20:D](座長:相原 研輔(東京理科大学))
- ◎行列主p乗根のためのNewton法の高速化について / ○立岡 文理 (名古屋大学), 曽我部 知広 (名古屋大学), 宮武 勇登 (名古屋大学), 張 紹良 (名古屋大学) [概要]
行列主p乗根の計算手法の一つにNewton法が挙げられる.Newton法の演算量は1反復あたりの演算量と所要反復回数との積であるため,それぞれの観点からの高速化が考えられる.本発表では,(1) Increment型反復式に対する1反復あたりの演算量の削減,(2) 反復回数削減のための初期値の改良の試みについて述べる.
- 行列補完に対する部分空間法の拡張について / ○小林 勇也 (東京大学), 相島 健助 (東京大学), 松尾 宇泰 (東京大学) [概要]
Ngo-Saad(2012)は、行列補完に対して特異値分解に基づく部分空間法とそれに関係する勾配法を提案した。本発表では、Ngo and Saadの視座が部分空間トラッキングや確率的勾配法などの類似アルゴリズムに拡張可能であることを示し、それによって得られたアルゴリズムの有用性を議論する。
- ◎最小二乗問題に対するRandomized Extended Kaczmarz法の拡張について / ○森尻 祐史 (東京大学), 相島 健助 (東京大学), 松尾 宇泰 (東京大学) [概要]
連立一次方程式に対するRandomized Kaczmarz(RK)法は,期待値の意味で解に収束する乱択反復解法である.本発表では,RK法に関する以下の2つの近年の研究に着目する.1つ目は最小二乗問題を解くために考案されたRandomized Extended Kaczmarz(REK)法であり,2つ目は,連立一次方程式に対する種々の乱択解法を統一的に扱うフレームワークである.本発表では,上のフレームワークのRK法に特化した性質に着目することで,最小二乗問題を解くREK法を拡張した結果を報告する.
- ◎スペクトラルクラスタリングにおける特徴量スケーリング / ○松田 萌望 (筑波大学), 保國 惠一 (筑波大学), 櫻井 鉄也 (筑波大学) [概要]
多量の情報を含むデータは、特定の現象に着目してクラスタリングを行うことが求められる。そこでデータ特徴量に対するスケーリングを行うことにより、事前知識を反映したクラスタを生成する手法を提案する。スペクトラルクラスタリングにおいて事前知識を反映するために、データの適切なスケーリング因子を求める問題を、短形固有値問題に帰着させる。遺伝子発現データを用いた数値例を示す。
▷ 行列・固有値問題の解法とその応用(5) [3月6日:16:30-17:50:D](座長:相島 健助(東京大学))
- ◎Verified numerical computation for the geometric mean of two matrices / ○宮島 信也 (岩手大学) [概要]
An algorithm for computing an interval matrix containing the geometric mean of two Hermitian positive definite (HPD) matrices is proposed. This algorithm is based on the matrix equation in which the geometric mean is the unique HPD solution. Numerical results show the effectiveness, efficiency and robustness of the algorithm.
- ◎Verified computation for solutions of inverse symmetric eigenvalue problems / ○宮島 信也 (岩手大学) [概要]
An algorithm for computing an interval vector containing the solution of the inverse symmetric eigenvalue problem is proposed. Uniqueness of the contained solution can moreover be verified by this algorithm. Numerical results show the properties of the algorithm.
- ◎正則化項を加えた制約付き非線形半非負値行列因子分解手法 / ○荒井 亮祐 (筑波大学), 今倉 暁 (筑波大学), 櫻井 鉄也 (筑波大学) [概要]
画像認識や音源分離などの分野におけるデータ解析手法として非負値行列因子分解(NMF)がある.また,NMFの拡張として,分解後の行列に非線形関数を作用した非線形半非負値行列因子分解(Nonlinear semi-NMF)があり,近年提案されたNMF型ニューラルネットワークで用いられている.本発表ではNonlinear semi-NMF手法を拡張し,正則化項を加えた制約付きNonlinear semi-NMF手法を提案する.
- ◎非線形非負行列因子分解に基づくディープニューラルネットワーク計算法 / ○今倉 暁 (筑波大学), 井上 雄登 (筑波大学), 櫻井 鉄也 (筑波大学, JST/CREST), 二村 保徳 (筑波大学) [概要]
近年、画像認識や音声解析においてディープニューラルネットワークが成果を上げている。その重み計算には確率的勾配降下法に基づくバックプロパゲーション(BP)法が標準的な手法として用いられている。本研究ではBP法に代わる重み計算法として、非線形非負行列因子分解に基づくディープニューラルネットワーク計算法を提案し、その性能評価を行う。
▷ 離散システム(1) [3月6日:09:40-11:00:E](座長:宮本 裕一郎(上智大学))
- ◎印象評価における比較順序の提案 / ○野月 麻衣 (お茶の水女子大学大学院), 萩田 真理子 (お茶の水女子大学) [概要]
印象評価による順位付けを行うときに用いられる手法のひとつに,一対比較法というものがある.これは,すべての対象同士を互いに比較しどちらのほうが良いかを選ばせ,その結果をもとに対象の順位を決定するものであり,安定した評価結果を得られる手法である一方,比較回数が多くなり結果を得るのが難しくなってしまうという側面がある.
本研究では,一部のものの一対比較で全体の順位付けを行う際に,バランスの良いデータを取得し信頼性の高い順位付けを行うために効果的な比較順序として,連続して現れる2つのものを比較する場合と,同時に現れる2つのものを比較する場合それぞれについて,すべての対象同士を1回ずつ比較でき,かつ,同じ対象ができるだけ近い間隔で出現しないような順序を提案する.
- ◎印象評価への組合せ構造の応用 / ○辻有 万里 (お茶の水女子大学大学院), 萩田 真理子 (お茶の水女子大学) [概要]
現代の世の中では,あらゆる評価が他との比較によってなされる.Web広告の有効性の比較や芸術の審査などの主観に依存する印象評価を行う際,審査対象がある程度多い場合には,演奏順や展示の配置等の影響により公平な審査を行うことが困難な場合もある.本講演では,組合せ構造を用いて,審査対象を少数に分割して評価を行うことで全体の評価を与える方法を紹介する.
具体的には,組合せ構造による配置と重み付き有向グラフを用いて,審査対象が多数であっても公平かつ効率的な順位付けを行う方法を紹介する.提案手法によれば,間接的な比較結果を全体の順序に反映させることができ,比較結果が得られていない対象どうしの選好の補完や,評価人数の偏りによる不平等さの排除が実現できる.
- ◎需給ネットワーク分割問題における供給率最大化アルゴリズム / ○高山 功輝 (筑波大学), 小林 佑輔 (筑波大学) [概要]
各点に非負の供給量あるいは需要量が割り当てられたグラフは需給ネットワークと呼ばれ,電力網やVLSI回路のモデル化として研究されている.需給ネットワーク G からいくつかの辺を取り除くことで,各連結成分が丁度一つの供給点を含むように G を分割し,各連結成分内で供給点から各点へ需要量のフローを流すことを考える.このような分割が可能かどうかを判定する問題は需給ネットワークの分割問題と呼ばれ,一般にはNP完全な問題であるものの,ネットワークが木である場合には容易に線形時間で解けることが Ito et al. (2005) によって示されている.分割が不可能な場合,すべての需要量を一様に r (0 < r < 1) 倍に減少させることで,分割を可能にすることを考える.このような r の最大値を求める問題は最大供給率問題と呼ばれ,ネットワークが木である場合には Morishita and Nishizeki (2013) により弱多項式時間アルゴリズムが与えられている.本発表ではネットワークが木である場合の最大供給率問題に対して,初めての強多項式時間アルゴリズムを与える.
- ◎木距離コストの下でのネットワーク設計問題について / ○新田 暢 (東京大学) [概要]
ネットワーク設計問題とは, 与えられた連結度制約を満たすネットワークの中でコストが最小のものを求める問題である.我々は辺コストが木距離に従うときの整数最適解や半整数最適解を求めるアルゴリズムについて考察する.また, その応用として一般の辺コストの場合に対する近似アルゴリズムについても議論する.
▷ 離散システム(2) [3月6日:11:10-12:30:E](座長:宮本 裕一郎(上智大学))
- ◎格子グラフ上の2頂点間の単純経路のサンプリングについて / ○河本 和也 (九州大学), 山内 由紀子 (九州大学), 来嶋 秀治 (九州大学), 山下 雅史 (九州大学) [概要]
平面グラフにおける2頂点間の単純経路数を求める問題は#P困難であることが知られている.マルコフ連鎖モンテカルロ法により経路をサンプリングする先行研究がいくつか存在するが,高速混合であるようなマルコフ連鎖の存在は未解決である.本発表では、格子グラフ上の単純経路の一様サンプリングに対するマルコフ連鎖の混合時間について議論する.
- ◎耐盗聴ネットワーク符号化法が存在するための必要条件について / ○中村 渉 (東京大学) [概要]
ネットワーク上の送信点から受信点に,k個のメッセージを,ネットワーク符号化を用いて送ることを考える.ただし,どのr本の枝を盗聴されても安全なように送るとする.本研究では,(k,r)=(2,1) の場合を考え,ネットワークがこのような方法を持つための必要条件として,Huang et al. (2014) よりも厳しい必要条件を与える.
- ◎関数選択を用いた暗号化の乱数性の評価 / ○西島 奈津季 (お茶の水女子大学大学院), 萩田 真理子 (お茶の水女子大学) [概要]
インターネット上の通信を安全に行うために様々な暗号アルゴリズムが用いられている。近年主流となっているのは,AES暗号やTripleDESなどのブロック暗号である。ブロック暗号の特徴は、決まった変換を決まった手順で行う暗号化方式である。本研究では、暗号化の変換の仕方そのものを鍵に依存して変える方法の有効性について考察を行った。例えば、(1)鍵と平文の排他的論理和をとる変換と(2)そのまま足し算をして剰余をとる変換を交互に行った場合と、8bitの鍵を1bitずつ読み込み、1が出たときに(2)の変換を行い0が出たときに(1)の変換を行った場合を比較した結果を紹介する。また、この関数選択を生かした暗号化方式の提案をする。
- ◎近傍情報の活用による決定性ランダムウォークの高速化 / ○白髪 丈晴 (九州大学) [概要]
近年, ランダムウォークの決定的模倣である決定性ランダムウォークについてネットワークの探索や物理現象のシミュレーションなど複数の文脈で研究が為されている. 本研究では, 近傍情報を活用した遷移確率により高速な全訪問時間を達成するランダムウォークに対応する決定性ランダムウォークの全訪問時間の解析を行う. そして, いくつかのグラフ構造上でランダムウォークの場合と同様の高速化が達成できることを示す.
▷ 離散システム(3) [3月6日:13:30-14:50:E](座長:小林 祐輔(筑波大学))
- ◎有限体上の誤り訂正符号系列の存在条件について / ○松村 恵里 (お茶の水女子大学大学院), 萩田 真理子 (お茶の水女子大学) [概要]
有限体上の誤り訂正符号系列は、周期Nの周期列でそのk-部分列の族がすべて異なり、最小距離dの誤り訂正符号をなすものとして定義されます。dが2e+1以上のときk部分列に現れるe個までの誤りを訂正でき、e-誤り訂正符号系列と呼ばれます。GF(q)上のm系列は周期q^n-1を持ち、(q^n-1,n,1)誤り訂正符号系列となります。これがe-誤り訂正符号系列として良いパラメータを持つための条件を与え、「原始多項式と原始多項式の積から作られる系列のほうが、m系列に比べて、周期は少なくなるが、符号語の数が少ない系列を得られる可能性がある」という研究結果を紹介します。
- ◎パリティ因子の標準構造:T-ジョインのカテドラル分解 / ○喜多 奈々緒 (国立情報学研究所) [概要]
無向グラフ G と偶数個の点からなる集合 T が与えられたとき,枝の集合 F が T-ジョインであるとは,Tの各点には奇数本の,それ以外には偶数本の F の枝が接続することをいう. すなわちT-ジョインはマッチングのパリティ性に注目して提案された概念であり,完全マッチング(1-因子)の他,無向最短路問題や中国人配達夫問題など代表的な無向経路問題をサブクラスに含む,グラフ理論・組合せ最適化における古典的なトピックである.一方,マッチング理論においてはGallai-Edmonds 分解や Dulmage-Mendelsohn分解など総称して標準分解と呼ばれる分解型構造定理が理論構築における要となってきた.これらは与えられたグラフに一意に定まる分解を与え,それを基にグラフが持つ全ての最大1-マッチングの構造を一括して記述するのを特徴とする.本発表では任意のグラフとパラメタT の対において最適 T-ジョインの構造を構造を記述する標準分解を提案する.
- ◎ブロック行列のDM分解について / ○平井 広志 (東京大学) [概要]
Ito-Iwata-Murotaはブロック行列のDM分解を導入し、その存在性を示した。一方で、それを求めるアルゴリズムは知られていない。本研究では各ブロックのランクが1以下のとき独立マッチング問題に帰着し、多項式時間でDM分解が求まることを示す。
▷ 科学技術計算と数値解析(1) [3月6日:15:00-16:20:E](座長:山本野人(電気通信大学))
- ◎多面体領域上のPoisson方程式に対する不連続Galerkin法の誤差評価 / ○千葉 悠喜 (東京大学大学院 数理科学研究科), 齊藤 宣一 (東京大学大学院 数理科学研究科) [概要]
偏微分方程式の数値解析手法として知られる不連続Galerkin法は,有限要素法などと比べてやエネルギーノルム以外のノルムを用いた解析はあまり行われていない.
本講演では,多角形領域,特に非凸の場合におけるPoisson方程式について,不連続Galerkin法のひとつであるSIPG法の誤差評価と数値例を示す.
- Approximating surface areas by interpolations on triangulations / 小林 健太 (一橋大学), ○土屋 卓也 (愛媛大学) [概要]
2次元の有界領域上で定義されたLipschitz連続な関数のグラフの曲面積を、その領域の三角形分割上の補間を使って近似することを考える。使う補間はそれぞれ1次のLagrange補間とCrouzeix-Raviart補間である。三角形分割が最大角条件を満たす場合、Lagrange補間によるグラフの曲面積の近似が真の曲面積に収束することを、約100年前にYoungが示した。我々はこの結果に現代的な別証明を与えた。さらに、グラフの曲面積をCrouzeix-Raviart補間で近似すると、その近似値は三角形分割の形状にかかわらず真の曲面積に収束することがわかった。
- Finite element approximations of minimal surfaces: algorithm and mesh refinement / ○Grodet Aymeric (愛媛大学理工学研究科), 土屋 卓也 (愛媛大学理工学研究科) [概要]
We want to compute a minimal surface, that is a map, between the unit disk and a domain whose boundary is a Jordan curve. We choose to use the finite element method to obtain an approximation of the solution when the optimal positions of the nodes of the triangulated domain are obtained by relaxation. However, when doing so, some problems occur including badly shaped boundary triangles and sometimes complete collapse of the approximation. To solve these problems, we provide a quick and computationally cheap method by inserting new boundary nodes in order to prevent extreme deformation of triangles, during the relaxation process. After the approximation is computed, we use an error indicator to verify its accuracy and refine the mesh if necessary. We apply the same techniques to the computation of free boundary problems, when a part of the Jordan curve is included into a certain surface. Physically speaking, this corresponds to remove a wire frame from a viscous liquid. We show a simulation of this phenomenon and several others numerical examples of approximation of minimal surfaces.
- 精度保証によるLyapunov 関数の構成とその拡張 / ○三宅 智大 (電気通信大学), 山本 野人 (電気通信大学) [概要]
安定性解析の強力なツールであるLyapunov関数の構成法として、区間演算に基づく精度保証法を用いた構成法と、RBF(Radial Basis Functions)とCPA(Continuous Piecewise Affine)を組み合わせた手法がある。前者はLyapunov関数の形が限定されており、適用できる範囲が平衡点の小さな近傍という制約がある。後者はsaddle型平衡点に対応しておらず、精度保証ために三角分割が必要である。そこで2つの手法を組み合わせ、RBFによって構成した候補を区間演算に基づく精度保証で検証する手法を提案する。
▷ 科学技術計算と数値解析(2) [3月6日:16:30-17:50:E](座長:齊藤 宣一(東京大学))
- ◎中心差分作用素に関するある種の不等式について / ○足立 智 (東京大学大学院 情報理工学系研究科) [概要]
NLSなどの偏微分方程式に対し,中心差分作用素を用いた構造保存解法を適用することを考える.このとき,ある精度以下では離散Sobolev不等式が成立し数値解が収束することがKojima,Matsuo,Furihata (2016)により示された.本発表ではこの不等式が任意精度でも成立することを示す.
- 偏微分方程式のアジョイント法における離散化 / ○田中 智規 (東京大学 工学部 計数工学科), 松尾 宇泰 (東京大学 大学院 情報理工学系研究科), 伊藤 伸一 (東京大学 地震研究所), 長尾 大道 (東京大学 地震研究所,東京大学 大学院 情報理工学系研究科) [概要]
アジョイント法は,モデルと整合性のとれた,評価関数の勾配を求める手法である.データ同化などで有用だが,モデルが偏微分方程式の場合,空間・時間を離散化してからアジョイント法を用いるという標準的な方法では,スキームの導出が困難な場合があった.一方,偏微分方程式自体にアジョイント法を用いてから離散化するという手法もある.本発表では,空間方向について,離散化とアジョイント法の順番の整合性について報告する.
- ◎後退誤差解析に基づく多段陰的線形スキームの安定化と最適化 / 松尾 宇泰 (東京大学大学院情報理工学系研究科), ○徐 立元 (東京大学工学部計数工学科) [概要]
散逸系に対する構造保存的な多段陰的線形スキームについては、Matsuo-Furihata
(2014)である程度漸近挙動が議論された。しかし、保存系にスキームを適用した場合やスキームパラメーターの最適選択に関しては未解明である。これらを議論する枠組みについて報告する。
▷ プレナリーセッション [3月7日:09:40-12:30:C](座長:岡本久(京都大学)、大石進一(早稲田大学))
- CSIAMにおける応用数理研究と関連する話題 / ○Tang Huangzhong (vice president of CSIAM) [概要]
CSIAMにおける応用数理研究と関連する話題
- TSIAMにおける応用数理研究と関連する話題 / ○陳 宜良 (台湾大学) [概要]
TSIAMにおける応用数理研究と関連する話題
- Set-valued numerics and the n-body problem / ○Tucker Warwick (Uppsala University, Dept. of Mathematics, SWEDEN) [概要]
Set-valued numerics and the n-body problem
- ICIAM 2023招致の準備状況 / ○岡本 久 (京都大学), 大石 進一 (早稲田大学) [概要]
ICIAM 2023招致の準備状況
▷ ウェーブレット(1) [3月7日:13:30-14:30:A](座長:守本 晃(大阪教育大学))
- Uncertainty principle for the continuous quaternion wavelet transform / Mawardi Bahri (Hasanuddin University), ○Ryuichi Ashino (Osaka Kyoiku University) [概要]
An uncertainty principle related to the continuous quaternion wavelet transform is presented.
- On an αth Order Fractional Radon Transform and its Discretization / ○藤井 克哉 (筑波大学数理物質科学研究科), 木下 保 (筑波大学数理物質系), 鈴木 俊夫 (筑波大学数理物質科学研究科) [概要]
フラクショナルフーリエ変換は、通常のフーリエ変換の自然な拡張であり、今日では光学や信号処理、暗号理論など様々な場面で応用されている。
今回、我々はフラクショナルフーリエ変換を用いてフラクショナルラドン変換を新たに提案する。通常のラドン変換は主にトモグラフィーなどで
用いられる変換であるが、本講演ではフラクショナルラドン変換の性質や応用方法などを考察したい。
- ◎重複ウェーブレット変換による画像の方向性解析 / ○藤ノ木 健介 (東海大学), 芦澤 恵太 (舞鶴工業高等専門学校) [概要]
本講演では,画像に対する離散ウェーブレット変換の方位選択性を改善する方法について述べる.冗長ポリフェーズ分解された画像において,画素間の相関を利用した新たな重複ウェーブレット変換を提案し,画像の方向性解析に応用する.
▷ ウェーブレット(2) [3月7日:15:00-16:00:A](座長:藤ノ木 健介(東海大学))
- 聴性誘発反応の複素連続ウェーブレット解析について / ○井川 信子 (流通経済大学), 守本 晃 (大阪教育大学), 芦野 隆一 (大阪教育大学) [概要]
聴性脳幹反応(Auditory Brainstem Response: ABR)と聴性定常反応(Auditory Steady-State Response: ASSR)に1 次元複素連続ウェーブレット解析(One-Dimensional Complex Continuous Wavelet Analysis: CCWA)を適用し,反応の時間-周波数の関係を観察した結果について報告する.
- 周波数帯域を自在に設計できるウェーブレットによる正規直交基底とそれによるHilbert変換ペア / ○戸田 浩 (豊橋技術科学大学), 章 忠 (豊橋技術科学大学) [概要]
筆者らはすでに,周波数帯域を自在に設計できるウェーブレットによる正規直交基底を提案しているが,このほど時間領域を任意に平行移動できるスケーリング関数を基礎に,時間領域の位相特性を可変可能にした.これによりHilbert変換ペアの構築を可能にした.
▷ ウェーブレット(3) [3月7日:16:30-17:30:A](座長:藤田 景子(富山大学))
- エッジ検出による文字領域検出について / ○芝本 貴至 (大阪教育大学大学院 総合基礎科学) [概要]
本講演では一般画像から文字領域を検出する手法について考察する.
離散ウェーブレット変換を用いて画像からエッジを抽出して,そのエッジ情報をもとに文字領域を抽出する.
抽出結果をモルフォロジー演算や Canny Edge Detection を用いたエッジ検出法による文字領域検出法と比較する.
- 画像分離における画像の回転角度の検出について / ○守本 晃 (大阪教育大学), 芦野 隆一 (大阪教育大学), 萬代 武史 (大阪電気通信大学) [概要]
元画像に対して,平行移動と回転の入った画像の重み付き重ね合わせを観測し,複数の観測画像から元画像の分離問題を考えよう.本講演では,複数の観測画像から元画像の相対的回転角度を推定するために,フーリエ空間でドーナッツ領域を取り出し,極座標表示を行い角度方向に相関を取る方法を提案する
▷ 計算の品質(1) [3月7日:13:30-14:50:B](座長:高安亮紀(筑波大学))
- Navier-Stokes方程式に関する非線形作用素のコンパクト性証明 / 中尾 充宏 (九州大学), 長藤 かおり (Karlsruhe Institute of Technology), ○渡部 善隆 (九州大学) [概要]
2次元Navier-Stokes方程式の流れ関数表示により導かれる4階楕円型方程式に対する計算機援用証明の過程で導出される非線形作用素のコンパクト性について考察を与えます.
- 精度保証付き数値計算による写像度の計算法の提案 / ○新田 光輝 (電気通信大学), 山本 野人 (電気通信大学), 松江 要 (九州大学), 小林 健太 (一橋大学) [概要]
本講演では、写像度の計算を精度保証付きで行うための方法を提案する。
写像度の計算方法にはさまざまなものが存在するが、ここで提案する方法は
ガウスの発散定理に基づく新しいものと考えられる。
また精度保証法として使いやすいという特徴を持っている。
このことを、特にS^1における写像度について、既存の方法の一つである
Keafottの方法との比較を行い、数値例に基づいて検証する。
高次元のケースについては今後の課題とする。
- ◎有限の遅れを持つ遅延微分方程式の初期値問題の解に関する精度保証 / ○沖森 祐友 (早稲田大学), 柏木 雅英 (早稲田大学) [概要]
近年、遅延微分方程式は、一般的な微分方程式の拡張として、数理生態学の「ロジスティック方程式」をはじめとした様々な理工学の分野において利用されつつある。本講演では、有限の遅れを持つ遅延微分方程式の初期値問題の解に関する精度保証付き数値計算について論ずる。まず、べき級数演算と不動点定理を用いて解を包含する方法を提示する。さらに精度を向上させる方法として、平均値形式とaffine
arithmeticを用いた方法について提示し、数値例を紹介する。
- ◎線形化問題の精度保証を利用した非線形楕円型境界値問題の精度保証結果の改善 / ○酒井 将大 (早稲田大学), 田中 一成 (早稲田大学), 大石 進一 (早稲田大学) [概要]
本公演では非線形楕円型境界値問題の精度保証付き数値計算をNewton-Kantorovichの定理に基づき行った結果を報告する。逆作用素ノルムと残差ノルムの積で評価されることの多いNewton法に現れる修正項のノルムを,線形化問題の精度保証を行うことで,より厳密に、さらに上下から評価する。これにより,精度保証結果が改善された結果を具体的な例と共に紹介する。
▷ 計算の品質(2) [3月7日:15:00-16:20:B](座長:渡部善隆(九州大学))
- A vectorized version of FastPrecSum applied to multiple precision numbers / ○Lange Marko (Waseda University) [概要]
In 2008 Rump, Ogita, and Oishi introduced the PrecSum algorithm as an alternative to the algorithm SumK. Both algorithms serve the same purpose, namely the emulation of a summation of floating-point numbers in -fold precision. The PrecSum algorithm is faster due to fewer flops (floating-point operations) per summand and a better instruction-level parallelism. In a subsequent work Rump introduced the algorithm FastPrecSum which achieves a further reduction of the computational complexity of PrecSum from to only flops per summand. In order to speed up numerical computations, many of today’s numerical codes make use of SIMD (Single Instruction Multiple Data) vector extensions.
Unfortunately, the original FastPrecSum algorithm does not allow a straightforward way to exploit vector operations. Here we present a modified version of the FastPrecSum algorithm that runs faster than the original version due to better instruction-level parallelism and the use of SIMD extensions.
Furthermore, we address the summation of multiple precision numbers that are represented as unevaluated sums of floating-point numbers in default precision. We introduce a simple condensation procedure for the cascaded summation of such numbers. The described procedure is fully vectorizable and requires only flops per summand independent of the applied summation algorithm.
- ◎スペクトル法を用いた変数係数1次元移流方程式の精度保証付き解法 / ○尹 授老 (筑波大学システム情報工学研究科), 高安 亮紀 (筑波大学システム情報系) [概要]
これまで時間発展方程式に対する解の精度保証付き数値計算は拡散項の性質を利用する事が必要であった.本講演では拡散項のない移流方程式を対象とし,その解を精度保証付きで計算する手法を紹介する.周期境界条件下ではスペクトル法を利用すると数値解がいくつかの保存則を自動的に満たすことが知られており,数値解は十分な精度で計算できていると考えられる.この得られた数値解をもとに解を精度保証付き数値計算する方法を考案する.
- ◎Muhammad-MoriのSE-Sinc不定積分公式に対する定数を明示的に表した誤差評価 / ○原 涼太 (広島市立大学), 岡山 友昭 (広島市立大学) [概要]
本研究は,Sinc不定積分近似を用いた半無限区間の近似式を考える.Sinc不定積分近似には変数変換と組み合わせる方法があり,この変数変換の違いによってStengerが提案した近似法とMuhammad-Moriが提案した近似法の2通りがある.Stengerの近似法に対しては誤差評価が行われているが,Muhammad-Moriの近似法に対しては誤差評価が行われていない.そこで,本研究ではMuhammad-Moriの近似法に対して誤差評価を行い,その有効性を検証した.
- ◎Sinc関数近似に用いる半無限区間用SE変換の改善と理論誤差評価 / ○新宅 勇也 (広島市立大学), 桂浦 英佑 (個別指導塾スタンダード), 岡山 友昭 (広島市立大学) [概要]
全無限区間で定義された関数を近似する方法として,Sinc関数近似がある.また半無限区間で定義された関数に対しても,適切な変数変換と組み合わせることでSinc関数近似を適用できる.具体的な変数変換はStengerによって提案されており,また誤差の見積もりが可能な誤差評価も与えられている.それに対し本研究では,変数変換に別の関数を用いた近似法を提案する.また既存の誤差評価と同様の形で誤差評価を行い,性能が改善されることを示す.
▷ 計算の品質(3) [3月7日:16:30-17:50:B](座長:山中脩也(明星大学))
- ◎総和・内積計算における無誤差の判定法 / ○尾崎 克久 (芝浦工業大学), 荻田 武史 (東京女子大学) [概要]
総和・内積計算に丸め誤差が発生しなかったかを検証する方法について提案する.
丸めモードの変更を必要とする方法,また丸めのモードの変更を必要としない方法を紹介し,それらの手法の性質について解説を行う.
- 計算値の大小関係を保証する浮動小数点フィルタについて / ○太田 悠暉 (芝浦工業大学), 尾崎 克久 (芝浦工業大学) [概要]
2つの計算値の大小判定を比較する分岐処理は,一般的なプログラム中にはよく現れる.
数値計算による計算結果を比較した場合,丸め誤差により計算値の精度に問題があり,本来選択されるべき処理と別の処理が選択されることがある.
本発表では,丸め誤差の解析結果から大小関係の正しさを,高速に数値計算により保証する浮動小数点フィルタを提案する.
また,2つの内積・総和・ホーナー法による多項式に応用した例を紹介する.
- ブロックコレスキー分解を用いた連立一次方程式の数値解の精度保証法 / ○寺尾 剛史 (芝浦工業大学), 尾崎 克久 (芝浦工業大学) [概要]
実正定値対称行列を係数行列に持つ連立1次方程式の精度保証付き数値計算法としてRump-荻田の方法が知られている.この方法は,コレスキー分解を用いた直接解法と同等の計算量で精度保証が可能である.我々は,ブロックコレスキー分解を用いて,悪条件の係数行列に対してRump-荻田の方法の改良を行った.本発表では,改良法の解析結果と数値実験の結果を述べる.また,係数行列が疎行列の場合の計算法とその数値実験の結果を述べる.
- ◎連立一次方程式の数値解の下端・上端型区間による最適な包み込み / ○落合 涼太 (芝浦工業大学), 寺尾 剛史 (芝浦工業大学), 尾崎 克久 (芝浦工業大学) [概要]
演算の真の値に対する高信頼な数値解が得られることを保証する定理や,ベクトルの総和の真の値に対して高信頼な数値解が得られるアルゴリズムが提案されている.本研究では先行研究を改善し,連立一次方程式の真の解に対する高信頼な数値解を得るアルゴリズムの提案とその保証定理を与える.さらに,提案手法を応用して連立一次方程式の真の解を包含する最適な下端・上端区間を求める手法について紹介する.
▷ 数理政治学 [3月7日:13:30-14:50:C](座長:大山達雄(政策研究大学院大学))
- 政党の獲得議席率と得票率の関数による近似 / ○小林 和博 (東京理科大学), 大山 達雄 (政策研究大学院大学) [概要]
選挙での各政党の獲得議席数は,その得票数によって定められる.選挙制度として必ずしも得票率に比例した議席が各党に配分されるわけではない.議席占有率と得票率との関係としてよく知られているものに3乗則がある.これは2党で互いの得票列が拮抗している時に成立するものである.本研究では,より一般に,3党以上の場合に,議席占有率と得票率との関係を関数により近似する方法を考察する.
- ◎空間的投票理論のε均衡について / ○岸本 一男 (筑波大学システム情報系) [概要]
空間的投票理論で,原理党と現実党の2つのタイプの政党が混在する多期間のゲームで純粋戦略しか許さない場合,部分ゲーム完全均衡は常には存在しないがε部分ゲーム完全均衡は常に存在することを示す.
- 取り分と配分議席数の関係 / ○一森 哲男 (大阪工業大学) [概要]
取り分制約に代表されるように,取り分と配分される議席数の間には密接な関係がある.しかし,除数方式では取り分制約を満たすものが存在しない.そこで,除数方式を対象に取り分と配分議席数の間の関係を明らかにした.
▷ メッシュ生成・CAE [3月7日:15:00-16:20:C](座長:川原田 寛 (横浜国立大学)、森口 昌樹(中央大学))
- 類似部分形状検索を用いた解析モデル再利用型メッシュ自動生成技術 / ○小野寺 誠 ((株)日立製作所), 針谷 昌幸 ((株)日立製作所), 金剛 力 ((株)日立製作所), 新谷 政樹 ((株)日立製作所), 何 祺 ((株)日立製作所) [概要]
自動車の衝突解析に代表される高度な解析においては、メッシュ形状が解析精度に大きな影響を与える。このため、解析目的や部位ごとにメッシュの仕様を定め、これを遵守することで、解析精度を担保しているが、膨大なメッシュ作成工数を要する。そこで、実績のある過去モデルから部分的に類似している形状を検索し、この部分のメッシュを流用し、組み合わせることで、過去モデルと同水準のメッシュを自動生成する技術を開発した。
- ◎多視点ワイヤーアートの連結性と最適化 / ○鈴木 廉 (中央大学大学院理工学研究科情報工学専攻), 森口 昌樹 (中央大学理工学部情報工学科), 今井 桂子 (中央大学理工学部情報工学科) [概要]
3次元空間内に平行でない2つの平面をおき,各平面上に3次元の座標において高さの等しい連結な線画を描く.本研究では,3次元形状で,それぞれの平面に直交投影したものが入力線画に一致するものを求める手法を与える.また,そのような形状は一般に複数あるが,連結なものが常に存在することを示した.さらに,辺長和を最小とする最適化問題を定式化し,その解となる形状も求めた.
- ◎うねりの少ない細分割を実現する簡単なステンシル / ○川原田 寛 (横浜国立大学) [概要]
CAGDの分野で細分割は滑らかな曲面を生成する代表的な手法である.多くの改良提案のうち,角を残す研究は多いが角を減らす(うねりを少なくする)研究は非常に少ない.また改良の多くはステンシルの範囲の拡大を伴うもので実装の難易度をあげてしまう.さらにステンシルは価数ごとに小数で表されており覚えにくいものであった.本講演では最も使用されているCatmull-Clarkの細分割に対する,簡単なステンシルを維持したうねりを少なくする改良を提案する.
▷ 折紙工学 [3月7日:16:30-17:50:C](座長:萩原一郎(明治大学))
- ◎2枚貼り折りによるペットボトル適用に関する検討 / 萩原 一郎 (明治大学先端数理科学インスティテュート), 安達 悠子 (明治大学先端数理科学インスティテュート), 奈良 知惠 (明治大学先端数理科学インスティテュート), 陳 暁詩 (明治大学先端数理科学インスティテュート), 楊 陽 (明治大学先端数理科学研究科), ○阿部 綾 (明治大学先端数理科学インスティテュート) [概要]
対称2枚貼りである野島、舘―三浦のポリへドロンは、軸方向、半径方向に折り畳むことができ、これらのペットボトルへの応用ができれば好都合である。両者の圧潰特性、スプリングバック特性を検討し、上記の可能性を探る。
- 蛇腹折りと曲面ハニカムを用いた安全ヘルメットの開発 / ○楊 陽 (明治大学), 空閑 美帆 (明治大学), 奈良 知惠 (明治大学), 萩原 一郎 (明治大学) [概要]
2011年3月の東日本大震災が一つの契機となり,これまでにも増して身の安全を守ろうとする気運が高まっている.安全を守る最も身近なものの一つに安全ヘルメットや安全帽子がある.特にヘルメットの場合,教室内に置くと通路が狭くなり,ロッカーに入らないという事態も生じている.これを解決すべく折り畳みのヘルメットが期待される.
- Finite Element Simulation of robotic origami folding / ○THAI PHUONG THAO (Meiji University), SAVCHENKO MARIA (Meiji University), HAGIWARA ICHIRO (Meiji University) [概要]
In this paper, we present the new simulation solutions for reconstructing origami from crease pattern by the robot arms in the development of our recent research: the iterative simulation-based mechanical and geometrical design of the origami-performing robot. The aim of the research is to manipulate the foldable objects, such as a sheet of paper, by the robot arms in the simulation environment in the relation with understanding the robot design instead of creating the real robotic prototypes. The basic premise underlying the study is that each folding operation of crease patterns of origami is considered as a function of the mechanical systems such as a robot. In this case, dynamic and kinematic behaviour of the robot arms in forming the 3D origami models is modelled by using the finite element method (FEM) in LS-DYNA. The physical properties of paper are a challenging problem for robotic systems. In the present study, we focus on some aspects of finite element simulations and implementation of the designed robot arms for the formations of the real origami models from the 2D crease patterns. Two forms of origami are considered: flexible, if bending is used for folding paper; and rigid, if origami patterns are considered as the kinematic systems in simulating. Results of the simulation are presented and provided by the illustrations.
- ◎ Consideration on Control Method for Folding and Gluing Machine / ○Julian Romero (Meiji university), Luis Diago (Meiji university), Ichiro Hagiwara (Meiji university) [概要]
紙を折り、糊付けできる折紙ロボットを開発している。折ってる段階で、板厚が厚くなり、それによりスプリングバックの状況がかわるなど、制御は特に重要となる。ここでは先に開発された具悪解析の流れの中で、独自の手法を開発しているが、それを中心に述べる。
▷ 数理医学 [3月7日:13:30-14:50:D](座長:鈴木貴(阪大基礎工))
- ◎数理モデルによる心筋細胞の集団効果の解析 / ○林 達也 (東京大学大学院数理科学研究科), 時弘 哲治 (東京大学大学院数理科学研究科), 栗原 裕基 (東京大学大学院医学系研究科), 野村 典正 (東京医科歯科大学生体材料工学研究所), 安田 賢二 (早稲田大学理工学術院先進理工学部) [概要]
近年,心筋細胞を1細胞レベルで制御することが可能になり,心筋細胞の拍動同期や細胞集団のサイズの効果について詳しく調べることができるようになってきた.今回は,安田研究室で行われた心筋2細胞の拍動同期実験の観測結果から構築した数理モデルを用いて,心筋細胞の結合順序と揺らぎの関係を調べるin silicoの実験を行ったので,その結果について報告する.
- ◎リン酸化を考慮したNF-κB古典的経路の 数理モデル / ○畑中 尚也 (大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻数理科学領域) [概要]
NF-κBは転写活性化因子のひとつであり,炎症,細胞の増殖,分化,アポトーシスなど,生命の様々な機能を担っている.NF-κBシグナル伝達経路を構成する要素の一つとしてリン酸化がある.NF-κBがリン酸化されることで転写が活性化され,脱リン酸化に従って転写は減衰していく.本研究ではNF-κBのリン酸化を考慮したモデルの作成と,振動現象の数学的な解析を行った.その結果,振動が起こるためにはNF-κB阻害因子IκBはリン酸化,脱リン酸化の区別をすることなくNF-κBと結合する必要があることが分かり,IKKαの濃度の遷移に応じてモデルの構造が変化することで振動現象が現れることが示された.
- ◎Free boundary problem for cancer cell protrusion formation. Mathematical model and numerical aspects for resolution. / ○Gallinato Olivier (INRIA Research Center of Bordeaux-Sud Ouest) [概要]
Metastatic cells are cancer cells that leave a primary tumor. They are able to invade sub-epithelial basement membranes and then to migrate through the healthy tissue towards the blood network or lymphatic system before invading the rest of the body and creating metastases. Numerous biological phenomena are involved inside the cell and they are strongly coupled to microenvironmental processes via the cell membrane. They lead to protrusion formation which are the early stages of invasion and directional migration, depending on though the protrusion is localized and proteolytic (invadopodia) or wider and non-proteolytic (pseudopodia).
For both invadopodia and pseudopodia, the protrusion formation at the cellular level can be mathematically described thanks to a free-boundary model based on PDEs. In our model, an interface accounts for the cell membrane, which is the main area of interest. This interface is between two harmonic phases. One phase stands for the outer phenomena: in the case of invadopodia, it accounts for the ligands which are created if some cellular MT1-MMP enzymes are embedded in the membrane and degrade the extracellular matrix. In the case of pseudopodia, the outer phase is a chemotactic signal which is diffused by a distant blood network or immune cells. In both cases, the outer phase is given with a Neumann boundary condition on the interface and provides the data of the Dirichlet boundary condition for the inner phase. The inner phase accounts for a cytoplasmic signal, which is triggered by the binding of outer ligands to receptors at the cell membrane. This signal is a simplification to describe the internal signalling pathways that lead to actin polymerization. The force exerted by the actin filaments on the membrane results in the protrusion formation. The interface velocity is then given as the gradient of the inner phase.
The positive feedback loop between inner and outer phases results in a strong mathematical coupling. From the numerical point of view, the coupling and successive derivations at each time step may result in nonconsistent solutions. The main focus of the presentation is to give the hints for building suitable numerical methods, which make it possible to overcome the issue thanks to the use of superconvergence properties. These methods are based on finite differences for solving the protrusion formation problem on Cartesian grid. A level set function is used to implicitly describe the interface in the usual Eulerian formalism. The core of the methods is the stabilization of the standard Ghost Fluid Method (Fedkiw et al.,1999), the use of a specific velocity extension, and linear, quadratic or cubic extrapolations of the ghost values. They result in different numerical schemes with different superconvergent behaviors. Hence, depending on the scheme, the solutions are either first order or second order accurate. Finally, the cubic method even leads to a second order accuracy of the interface curvature, which makes it possible to consider using interface regularization techniques to model the subsequent stages of cell migration. The presentation will be illustrated by convergence tests and simulation results showing the formation of membrane protrusions.
- Model for MultiCellular Tumor Spheroid Growth / ○Michel Thomas (INRIA Research Center of Bordeaux-Sud Ouest) [概要]
MultiCellular Tumor Spheroids can accurately reproduce the behavior of 3D solid tumors, they are used to understand dynamics of tumor growth and to evaluate new cancer drugs. When spheroids reach a large size, they present a proliferating rim, composed of proliferating cells and a quiescent core, composed of non proliferating cells. This proliferating rim can be observed by integration of EdU fluorescent marker during cell division. In order to describe how the distribution of proliferating cells in a spheroid is related to the external concentration of nutrients/oxygen, we built a Partial Differential Equation Model based on mass balanced equations for tumor cell densities. In this talk, we present the model and the results of the calibration of its parameters. This calibration was performed thanks to tumor spheroids experimental data provided by our collaborators from the ITAV biological lab in Toulouse, France.
▷ 数論アルゴリズムとその応用(1) [3月7日:15:00-16:20:D](座長:青木 美穂(島根大学)、横山 俊一(九州大学))
- 円周率にまつわるアルゴリズムと数論研究への応用 / ○福田 隆 (日本大学生産工学部) [概要]
前半では円周率の近似計算に利用される3種類のアルゴリズムを紹介します.
和算における最高の成果とされ, 世界的にも類のない, 建部賢弘の仕事にも言及します.
後半では, 円周率計算のアルゴリズムが数論の研究にも応用されていることを,具体例を交えながら説明し, 整数論における実例計算になぜ近似計算が有効なのかを解説します.
- 円分体の相対類数の行列式公式の値の大きさと,その応用について / ○谷口 哲也 (金沢工業大学) [概要]
実験計画法においては,実験効率の向上のため,±1 成分の行列式で値の大きなものが求められているが, 成分が±1 である正方行列で行列式の値が最大となるHadamard 行列は全ての4n次行列で存在するであろうというSylvester予想は未解決である.
一方,相対類数の行列式による公式の値をランダム行列式の一つの実現値と解釈したところ,その値は平均より非常に大きいという観察結果を得ている.
このように大きな行列式値をもつ行列の構成に,相対類数の公式が応用出来ると考えている.
例えばp=101 円分体では,相対類数公式の行列式値は,平均から4.7標準偏差ほど大きな位置にあり,またHadamard行列がまだ見つかっていない716次行列についても同様に大きな行列式値であり,Hadamardの上限の約96.8%の大きさの桁数を実現していることも確認している.
本講演では既に行った数値実験結果(平均からの乖離の具合,行列式の値の分布など)を紹介し,時間が許せば他の行列での相対類数公式でも同様の現象が起こっていること,このような行列の他への応用の可能性についても報告したい.
- ◎Superspecial curves of genus 4 / ○工藤 桃成 (九州大学), 原下 秀士 (横浜国立大学) [概要]
1987年に Ekedahl は標数pの完全体上の(非超楕円的)超特別曲線が存在すれば, その種数をgとするとき2g \leq p^2 – p を満たすことを示すとともに,「各素数 p\geq 5 に対して種数 g=4 または g=5 の超特別曲線は存在するか」という問題を提起した.
ここで曲線が超特別であるとは, その Jacobian が超特異楕円曲線の直積に同型となることである.
本講演ではまず, 種数 g=4 の(非超楕円的)超特別曲線を数え上げるアルゴリズムを与える.
講演者はそのアルゴリズムを計算機代数システム Magma 上で実行することで「標数 p=7 では種数 g=4 の超特別曲線は存在しない」という結果を証明したのでこれも紹介する.
この結果は有限体 F_{49} 上の種数4の極大曲線の非存在性をも示している.
また, 時間があれば, 講演者による種数4の超特別曲線の存在/非存在性に関する研究の最近の進展状況も紹介したい.
- ◎Telescopic曲線に対する代数積分の逆関数について / ○綾野 孝則 (National Research University Higher School of Economics) [概要]
代数曲線の定義方程式が与えられたとき, その幾何学的なデータからシグマ関数が定義されます.
シグマ関数の一番の特徴は定義方程式と直接結びついた代数的性質です.
近年の研究により, 超楕円曲線などの代数曲線やそのヤコビ多様体の様々な具体的な性質はシグマ関数を用いて記述できることが知られてきています.
定義方程式から直接計算できるシグマ関数の性質を明らかにすることは, 代数曲線の定義方程式から出発する暗号理論への応用という観点から大変重要です.
実際, Stange氏, 内田幸寛氏, 内山成憲氏により, シグマ関数を用いてTate-Lichtenbaum ペアリングを計算するアルゴリズムが提案されています.
本発表では, 代数曲線上の1点のアーベル・ヤコビ写像による像から元の点の座標を表示するという問題を考えます(代数積分の逆関数). 種数が小さい超楕円曲線やC_{ab}曲線と呼ばれる平面曲線の場合は,大西氏や松谷氏によりシグマ関数を用いて具体的に表示されています.
本発表では, 三浦晋示氏より導入されたtelescopic曲線(超楕円曲線やC_{ab}曲線を含む)に対して, ある条件の下. シグマ関数を用いて座標が具体的に表示できることを報告します.
▷ 数論アルゴリズムとその応用(2) [3月7日:16:30-17:50:D](座長:長尾 孝一(関東学院大学))
- ポスト量子暗号の安全性評価 / ○高木 剛 (九州大学) [概要]
最も有名な公開鍵暗号としてRSA暗号と楕円曲線暗号があり,SSLによる暗号通信や電子政府でのディジタル署名などで広く普及している.
一方で,これらの暗号は量子計算機による多項式時間の解読法が知られており危殆化するため,量子計算機に耐性のある数学問題を利用したポスト量子暗号(Post-Quantum Cryptography)の研究が注目を集めている.
実際,2015年8月にアメリカ国家安全性保障局NSAはポスト量子暗号への移行を表明し, 2016年2月には米国標準技術研究所NISTがポスト量子暗号の標準化計画を発表している.
本講演では,ポスト量子暗号の歴史と標準化計画の概要を紹介し, 代表的なポスト量子暗号となる多変数多項式暗号と格子暗号の構成方法と安全性の評価方法を解説する.
- ◎Attacks against search Poly-LWE / ○工藤 桃成 (九州大学) [概要]
格子暗号は耐量子暗号の候補であり, その安全性は格子理論における最短ベクトル問題, 最近ベクトル問題, Learning with errors (LWE)問題などといった計算問題の(現実的な時間での)求解困難性に基づいている.
したがってそれらの問題における求解可能パラメータを明らかにすることは, 安全な暗号系を構築する上で重要である.
本講演では, そういった問題の中でも Polynomial LWE (Poly-LWE) 問題に焦点をあて, 講演者による, (既存攻撃の)拡張型攻撃法を紹介する.
Poly-LWE 問題は識別型と探索型に分けられ, Eisentraeger らは識別型 Poly-LWE 問題に対する攻撃法を与えた.
この攻撃法は, 定義方程式が素体上で完全分解するという条件付けをすることで探索型問題にも適用可能である.
そこで講演者は定義方程式が素体上で完全分解するとは限らない状況でも成立する攻撃アルゴリズムを与えたのでそれを紹介する.
また, 我々の拡張型攻撃法によって(現実的な時間で)求解可能となる新たなパラメータ設定についても議論したい.
- ◎Revisiting the Efficient Key Generation of ZHFE / ○池松 泰彦 (九州大学), Dung H. Duong (九州大学), Albrecht Petzoldt (National Institute of Standards and Technology), 高木 剛 (九州大学) [概要]
多変数多項式暗号は量子計算機に耐性を持つ公開鍵暗号の候補の一つとされる。
その中で、PQCrypto’14で提案されたZHFEは現在有効な解読法が知られていない数少ない暗号方式である。
しかし秘密鍵生成における計算量がO(n^3c) と大きいことが問題点であった。
ここでnは変数の個数で、cは linear algebra constantである。
PQCrypto’16 でBaenaらは計算量がO(n^(2c+1))となるZHFEの秘密鍵生成アルゴリズムを提案したが、96ビット安全性パラメータに対して標準的なPCのMagmaによる実装で約607秒の生成時間が必要であった。
一方IWSEC’16でZhangらは秘密鍵の空間を制限する事により高速なアルゴリズムを提案したが、上述のパラメータに対してZHFEの秘密鍵全体の約83%しか生成できないという問題点があった。
今回我々はBaenaらの方法を拡大体上に持ち上げる事により、計算量をO(n^(c+3))まで改良するZHFEの秘密鍵生成アルゴリズムを得た。
その結果、上述のパラメータに対する生成時間が約39秒となり、かつ約99%の秘密鍵を生成できる。
- ◎A key exchange protocol via polynomial automorphisms related to Jacobian conjecture / ○伊藤 勝 (日本大学), 中村 周平 (日本大学), 秋山 浩一郎 (株式会社 東芝研究開発センター), 平田 典子 (日本大学) [概要]
本講演では, Polynomial mapと呼ばれる多変数多項式で記述される自己同型写像を用いた耐量子鍵共有方式の実現手法を提案する.
標数ゼロの体の場合における代数幾何学の未解決問題 Jacobian 予想に関する手法を導入し, 多項式で表示される全単射写像を用いた鍵共有が構築可能であること, 更に標数pの有限体の場合であっても逆写像が存在することに注意しながら類似の方式を実現出来ることを示し, 具体例と共に提示する.
▷ 連続体力学の数理(1) [3月7日:13:30-14:50:E](座長:木村正人(金沢大学))
- Functional equation-based analysis of resting-state network / ○本多 泰理 (NTTネットワーク基盤技術研究所) [概要]
安静時の脳における神経細胞の同期発火現象であるresting-state networkに関して、近年の研究に基づき関数方程式によるモデル化を提案する。またその数学的可解性および解の安定性に関する議論を行う。
- ◎Limiting small strain problem with contacting crack faces / ○伊藤 弘道 (東京理科大学), Kovtunenko V.A. (University of Graz), Rajagopal K.R. (Texas A&M University) [概要]
非線形弾性体における非貫通条件を課した亀裂問題を考察する。非線形弾性体については、歪みに関する有界性は課すものの、応力集中を許容するようなモデルを考える。本講演では、その境界値問題に関する数学解析について説明し、ある一般化された解(解の正則性が得られれば通常の意味での弱解と一致するような解)が存在するための十分条件とその例を与える。
- ◎熱・流体・空隙生成相互作用モデルに現れる幾何的に異なったアトラクタ / ○鈴木 岳人 (青山学院大学) [概要]
熱・流体・空隙生成相互作用系の支配方程式系の解の振る舞いについて、「点状」及び「線状」という幾何的に異なった2種類のアトラクタを見出した。またこれらは空隙発展則の詳細によらず、一般に存在することも示された。初期値に応じてどちらのアトラクタに解軌道が吸収されるのか、詳細に議論する。
- 最小コンプライアンス問題と回帰的又は非回帰的空間に属す最適密度 / ○海津 聰 (東京理科大学) [概要]
最小コンプライアンス問題を仕事量を最小とする,最適密度を探索する問題と設定する.
そのときに,密度をどのような関数空間の要素とみなすかが,問題となります.本論
では密度を回帰的バナッハ空間,非回帰的空間とみなした場合のそれぞれの結果を考察します.
▷ 連続体力学の数理(2) [3月7日:15:00-16:20:E](座長:伊藤弘道(東京理科大学))
- ◎自己駆動粒子モデルにおける「群れ」の特徴付け / ○谷村 優太 (明治大学), 友枝 明保 (武蔵野大学), 木下 修一 (武蔵野大学), 矢崎 成俊 (明治大学) [概要]
昆虫や魚,鳥など自然界で棲息している生物の中には「群れ」を形成するものがいる.
こうした「群れ」の現象を理解するために自己駆動粒子という概念が提唱され,
理論的な研究が進められている.本講演では,こうした集団運動の詳細な理解へ
向けた最初の理論的取り組みとして,1995年にVicsekが提唱した自己駆動粒子モデル
を再現し,「群れ」の特徴付けを統計的観点から提示する.
- 周期的な領域における波動散乱問題に対する高速直接解法について / ○松本 安弘 (京都大学), 西村 直志 (京都大学) [概要]
1方向に周期境界条件が課された2次元Helmholtz方程式のtransmission問題に対し,Multi trace境界積分方程式を用いることで,Martinsson-Rokhlin型の高速直接解法を適用する.数値計算により,手法の妥当性を検証するとともに,周期境界条件に起因した固有値が本手法とSSMにより効率よく求められることを示す.
- ◎床面付近での不安定な燃え拡がり現象の数値計算 / ○桑名 一徳 (山形大学), 矢崎 成俊 (明治大学) [概要]
可燃性固体の燃え拡がり現象を理解することは火災安全上重要である。本研究
では、床面付近での燃え拡がり現象に着目する。床面付近で可燃性固体が燃え
拡がると、熱損失のために小さい火炎しか形成されず、浮力流がほとんど生じない。
このとき浮力流による安定化機構が働かないため、火炎は不安定に燃え拡がる。
本研究では、このような火炎の法線方向速度を表す式を解くことにより、火炎
形状の時間発展を数値的に求める方法について検討する。